Art & Design:「秘密ハガキ」で明かされるほろ苦いクリスマス
クリスマスはどうやって過ごしますか。
というよりも、このクリスマスはどんな秘密がありますか。
アメリカではホリデーシーズンは家族と過ごすもの。実家に帰ってみんなでワイワイ食事をしたり、恋人と寄り添ってシャンパンを飲んだり、寒い仲ロックフェラーセンターの巨大クリスマスツリーを見に行ったり、また大学に残って友達とつぶれるまで安いワインを飲んだり、まぁ過ごし方は様々。何かしらの理由で一人で過ごすクリスマスは、アメリカだと、特にニューヨークみたいな街だと非常に寂しく感じることだと思う。道で売っているモミの木の見張りで、煙草をふかしながら一晩中小さなプラスチックの折りたたみ椅子に座っている男の人を通り過ぎたり、クリスマスの飾りで燦々とするミッドタウンを歩き回ったり、この季節特別にトニーベネットがデザインしたブルーミングデールズの紙袋を嬉しそうに持っている人を地下鉄で見かけたり、そんなことをしているうちに無関心でもなんでもクリスマスをすごく意識するようになることだろう。
ホリデーシーズンに対する感情は色々。わたしも2年前はクリスマスイブは友達と一緒に過ごしたものの、25日当日は仕事が遅くまであり、ニューヨークで一人だったことを思い出した。今年は七面鳥や母が毎年焼くフルーツケーキなどを家族で食べてゆっくり過ごす予定だけど、大学の友達の中でニューヨークに残ることになっちゃったんだけどクリスマスは誰とどうしよう!と嘆く子もいれば、冬休み中はInternational Herald Tribune 新聞のパリ本社でインターンをしているのでクリスマスは一人ぼっち…という親友もいる。
そこで昔気に入って読んでいたポスト・シークレットというサイトをふと思い出して、久しぶりに覗いてみた。「アートプロジェクト」と称し、毎週日曜日に更新されるもので、匿名で自分の秘密を絵はがきにして送り込むとブログでショーケースされる、という仕組み。
可愛い秘密があれば(「君がいないとイタリアまでが醜い」)、切ないものもあり(「友達の葬式でハイになっていた」「無知が恋しい」)、風変わりでおかしい秘密(「子供が写っている古い写真をフリーマーケットで買い集めて 一人ずつ名前をつけてる」「君のアレルギーのせいで猫が飼えなくて 実はちょっとムカついてる」)、また恐ろしい秘密もある(寝ちゃったあとに、ベビーシッターしている子供たちの髪の毛を少し切ってとっておく)。
「ホリデーシーズン」というタイトルで最近アップされた絵はがきを見ていくと、どこか物悲しい。「来年のクリスマスにはもう生きていないだろう父親」に対する気持ちを込めたものや、「一人でいる」という状況に対する失望感もしくはちょっとほろ苦い喜び。
今日はわたしが気に入っている何枚かを、過去のものも含め日本語訳を添えて紹介します。
無意識のうちに しきりに自分の人生を頭の中で物語っている 三人称で 英国発音で
君はぼくを救ってくれてる。
私が18歳になったら あげる
いつまでも こんなに楽しいといいな
こっちのほうが高いと ちょっと優越感
選択があったとしたら どっちを選ぶかわからない
猫には すべて 話してる
見知らぬ人が隣に立ったり 通り過ぎたりするたび 何を考えているんだろうと思う
そして歩き去ってしまうたび 密かに恋しくなる
そして歩き去ってしまうたび 密かに恋しくなる
わたしを連れ去って
ある日 もう一度チャンスをくれるとねがって
わたしも秘密を送ってみようかな。
by girlfrombackthen
| 2008-12-25 01:44
| The Aesthetic